会計事務所、といいますとブラックな所も多いという意見があります。
果たして本当にそうなのでしょうか。
本記事では会計事務所がブラックなのかどうなのか、私なりの見解を述べてみようと思います。(一応いくつかの会計事務所での勤務経験もありますので・・・)
ブラック会計事務所もある
結論から申し上げますが、これは完全に業界ではなく、「会計事務所による」と私は思います。
残業が多い(しかもサービス)、休日出勤がある、薄給、上司が理不尽などなど、一般的なブラック企業に言われていることはブラック会計事務所でも言われております。
ただ、繰り返しになりますが、これは完全に会計事務所によると思います。
実際に9時〜17時で給与もそこそこ、福利厚生も普通、という会計事務所もありますし、毎日終電コースで薄給のブラック会計事務所も多くあります。
全ては顧客層や所長の性格、会計事務所の方針によると思います。
まれに社会保険に入っていない、なんていうブラックな会計事務所もありますが、その会計事務所が個人事業主だった場合は違法となりません。
通常の個人事業主は従業員が5人いたら、社会保険に加入しなければならないルールがありますが、税理士事務所、会計事務所にはそのルールは適用されないのです。
といっても税理士法人は加入義務があります。あくまで、個人の会計事務所です。
社保に加入していない会計事務所は定着率が低くブラックな会計事務所の可能性もあります。
今、挙げた要素が全て入っているハイパーブラックな会計事務所は少ないですが、1つでも該当する会計事務所はけっこうあると思います。
ただそれは一般企業にも言えることだと思います。
会計のスキルを身につけたい場合はおすすめ
労働環境という面でみると、会計事務所よりも一般企業の方が水準は概していいと思いますが、業務という観点でみると、会計事務所はとてもいい経験になると思います。
簿記を生かした入力、税金の計算、給与計算、確定申告などなど、業界の基本的な知識が一通り学べるからです。
会計の全体が学べるのです。全体が学べるのは会計事務所の顧客には小規模の会社が多い事が理由です。
そこそこ大きな、企業内経理ですと、個人が全部をやることはないでしょう。というか無理です。
その代わり内部管理はより細かく、きっちり見ると思います。
経験としては会計事務所と大企業の経理経験が両方あれば最高なのかもしれませんね。
また、税理士などになって独立したい、と考えている方であれば会計事務所は最高の環境なのかもしれません。
お金もらって勉強しているようなものですから。
しかし、このような目的がない人にとっては会計事務所はブラックに感じる事もあるのかもしれません。
要はお金や福利でみるのではなく、スキルや知識、という点に価値を見いだせるかどうかだと思います。
離職率が多いのは?
会計事務所は離職率が高いです。
その理由はブラック会計事務所の存在もありますが、税理士で独立開業を目指す人たちが多くこの業界にいる事も理由に挙げられます。
彼らは独立するまでにいくつかの会計事務所で、修行として知識やスキルを身につけるのです。
会計事務所によって請負業務ややり方は違いますから、多くの会計事務所での経験があったら独立した時に有利になります。
特に税理士の場合、相続の存在が大きいですが、実際に相続を全くやらない会計事務所もありますし、相続専門の会計事務所もあります。
また、会計事務所の基本的な業務は全国何処でも使えるスキルのため、仕事を覚えてしまうと転職が比較的容易にできる、ということもあると思います。
採用側も経験や税理士試験の合格状況を見て、年収を決める傾向がありますので、一般企業のように年功序列方式ではないのかもしれません。
会計業界は離職率は高いですが、この業界特有の理由がありますので、必ずしもブラック会計事務所が多い、という理由にはなり得ません。
まとめ
結論としては、その人の価値観によるのではないかと思います。
会計が好きな人にとっては、いい仕事ですし、そうでなければブラック。
会計業界がブラックと言われている本質はそこにあるのかと思います。
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